子どもののどが真っ赤になって熱が出た、こんな症状の場合、インフルエンザや新型コロナウイルスによる感染が真っ先に浮かぶかもしれません。でも、もしかすると溶連菌感染症かもしれません。溶連菌感染症は、新型コロナなどのウイルス性の疾患と違って、適正な抗生剤による治療が重要な疾患です。
溶連菌感染症とは?
溶連菌感染症は、A群β溶血連鎖球菌という細菌によって起こる感染症です。溶連菌感染症の流行時期は主に11月~4月ですが、年間を通して感染の可能性がある病気です。感染経路は、飛沫感染や接触感染ですが、一般的に乳幼児から小児に感染しやすい病気です。
症状について
溶連菌感染症では、発熱、のどの痛み、腹痛、発疹、苺舌(舌の表面に赤いブツブツができる)、吐き気などの症状が現れますが、これらの全てが現れるわけではありません。咽頭には「火焔状」といわれる派手な発赤が観察されることがあります。風邪と違って鼻水や咳などの症状がなく、発疹や舌にイチゴの様なブツブツが現れるのが特徴ですが、風邪と同じ症状もでるので早めに医療機関で検査を受けることが大切です。
溶連菌感染症の検査
溶連菌感染症(A群β溶血連鎖球菌)は、インフルエンザや新型コロナウイルスと同様に迅速抗原検査キットを使うことで比較的簡単(5分~10分程度)に検査することができます。
溶連菌感染症の治療
検査の結果、溶連菌感染が分かったら、一般的には、発熱やのどの痛みを和らげる薬とともに、ペニシリン系抗生物質であるアモキシシリンなどが10日間分処方されます。抗生剤の服用により2~3日で症状が良くなりますが、症状が治まったからといって途中で飲むのを止めてしまうと、再発したり重篤な合併症(リウマチ熱、急性糸球体腎炎、紫斑病など)を引き起こすおそれがあります。症状が既に治まっているお子さんに、薬を飲ませ続けることは大変ですが、必ず、指示された期間は薬を確実に服用させるようにしましょう。
登園・登校について
溶連菌感染症は、学校保健安全法によって管理を受ける「条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる疾患」の一つですが、抗生剤を服用すれば24時間以内に周囲への感染の可能性が低くなる病気です。従って、抗生剤を服用し始めてから24時間以上経過して、症状が治まっており、主治医が感染のおそれがないと判断すれば、登園・登校が可能となります。
参考資料:抗微生物薬適正使用の手引き(第二版)
学校保健安全法施行規則第18条,19条