【ママのビタミン】片頭痛の治療法の進歩について

片頭痛の治療法の進歩について

<片頭痛とは!>

片頭痛は、こめかみから目のあたりが「ズキンズキン」と脈打つような痛みで一度発症すると数時間以上(4~72時間)持続し、日常生活に支障が起きやすい疾患です。また、片頭痛は、拍動性の痛みに加えて、音や光に敏感になったり、吐き気等を伴ったりすることもあります。過去の日本全国調査では、片頭痛の年間有病率は8.4%(約1000万人)と報告され、20~40代の女性の5人に1人は片頭痛を抱えているといわれています。

片頭痛における頭痛のメカニズムの詳細はいまだ不明ですが、近年の病態解明により「三叉(さんさ)神経血管説」が有力視されています。なんらかの原因で三叉神経が刺激されると、脳内に「カルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptideCGRP)」という物質が過剰に放出されて血管の拡張が起こり、炎症が惹起され、痛みのシグナルが三叉神経を通って大脳皮質に伝えられると考えられています。

<片頭痛の急性期治療>

片頭痛の急性期治療として、軽度~中等度にはアセトアミノフェン製剤や非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)が使用されます。中等度~重度の片頭痛またはNSAIDsで効果がみられなかった軽度~中等度の片頭痛にはトリプタン製剤が主に用いられます。トリプタン製剤の登場は多くの片頭痛患者さんに福音をもたらしましたが、この製剤が有効でなかったり、血管収縮作用による副作用が問題になることがあります。新規に開発されたラスミタジンは関連する受容体に親和性が高いため、血管収縮作用を示すことなく抗片頭痛作用を発揮する薬剤です。このラスミタジンは、トリプタン製剤が使用できない患者さんも適応となり、高い効果が認められていますが、めまい感や眠気を感じることがあるため、服用後は自動車の運転などを避ける必要があります。他に片頭痛の随伴症状の悪心・嘔吐には、対処療法として制吐薬のドンペリドンやメトクロプラミドが使用されます。

<片頭痛の予防薬>

片頭痛の予防薬としては、様々な薬剤がこれまで使用されてきましたが、近年、新たな予防薬としてCGRPを標的とするモノクローナル抗体薬が臨床応用され、片頭痛治療が大きく変わると期待されています。モノクローナル抗体薬の優れている点は、高い標的特異性と効果の持続性です。しかしながら、モノクローナル抗体薬は、薬理作用や安全性プロファイルが既存の片頭痛予防薬と明らかに異なっていることや、高額な薬剤であることから使用を考慮する患者さんの基準がガイドラインで明確に示されています。

~慢性・難治化した片頭痛で困っている方へ~

 最近行われた調査では、わが国の片頭痛患者さんの7割は医療機関を受診していないことが明らかにされています。あくまで試算ですが、わが国では片頭痛による労働遂行能力の低下により年間3600億円~2兆3000億円の経済的損失が発生していると推計されています。また、頭痛専門施設の調査では、薬剤の使用過多による頭痛(medication-overuse headache :MOH)の有病率の高さも指摘されています。新しい治療法も開発されていますので、慢性的な片頭痛で悩んで見える方は、一度、専門医療機関を受診しては如何でしょうか。

2022_10  片頭痛治療法の進歩について

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