1.ハシリドコロ (ナス科) @大紀町
l-ヒヨスチアミンやラセミ体のアトロピン(dl-ヒヨスチアミン)、ノルヒヨスチアミン、l-スコポラミンなどのトロパンアルカロイドを含む有毒植物で、全草に毒があり根茎と根が特に毒性が強い。
これらの物質は副交感神経を麻痺させるため、嘔吐、下痢、血便、瞳孔散大、めまい、幻覚、異常興奮などを起こし、最悪の場合には死に至る。
また、ハシリドコロに触った手で目をこすると瞳孔が開き、眩しく感じられる。
一方、適正な用法・用量で使用すれば鎮痛、鎮痙などの効果があり、根茎と根はロートコンという薬品として日本薬局方にも収められている。
ロートコンに含まれるアトロピンは硫酸アトロピンの原料になり、ロートコンの成分を水またはエタノールに浸出させたものはロートエキスと呼ばれる。
なお、新芽はフキノトウと間違えやすく、誤採取による食中毒の防止に気をつけることが大事。
2.アイナシ (バラ科) @玉城町
イヌナシ(マメナシ)と栽培種のナシとの自然交配種。
初めて発見された四日市市阿倉川地区のアイナシは国の天然記念物に指定されている。
玉城町内では原地区新池畔に自生しており町の記念物に指定されている。
花は4月上旬。10月上旬には直径2㎝ほどの実をつける。
写真&文章 三重県薬剤師会 成瀬